天候不順が続いていましたが、ようやく夏らしくなって来ましたね。
日本の景気は冴えないし、ボーナスは下がる(もしくは出ない)一方だし、
ここらで一発、ユーロ安が進む今年の夏休みこそイタリアに行こう、
と考えている方も多いのではないでしょうか?
直行・日系航空会社にこだわらなければ、まだまだチケットはとれます。

訪問先の造り手達の話は、現在しっかりした取材データがあり、日を改めて書く事が出来るので、
今回は、今年初めてイタリアに行こうと考えている方へに向けて(特に初めて車でイタリアを巡る計画を立てている方に向けて)、
僕がイタリアでガストロミー(美食学)を楽しむために、出国前に事前に準備していること、
また、「知っていれば困らなかったよなぁ」と思ったことを、
舞台をマルペンサ空港周辺に絞り書いてみようと思います。

皆様の旅行計画を立てる上で、参考になれば幸いです。

「●●の歩き方」を始めとする、観光雑誌でイメージを膨らますのも楽しいですが、
20年以上も前の南米時代の経験から今日に至るまで、
日本で出版されているガイドブックの類は、残念ながら糞の役にもたたないと考えています。
どうしても持って行きたいなら、必要な所だけをコピーをとって持って行くべきです。 
(無駄な書籍はかさばるだけ)

過去3度のイタリア旅行に関しても同様です。
最悪の事態を想定して、ネットや国内外のコネを駆使しつつ、ご自身の計画に必要な情報を「主体的に」かき集める事から始めなくてはなりません。
そう、海外旅行とはいわば、期間限定の外交であり、外交で有る以上、真剣勝負なのです。

皆さんの身を守るのは、皆さん自身以外にいない、頼れるのは自分だけ、
という強い自覚を持つことが大切です。
そういう想いで、自己の責任の範囲で対応できるように、可能な限りの情報を収集し
想像に想像を重ね、事前にできるリスクヘッチの準備を行い、
「なんとしても、無事に日本へ帰ってくるぞ!」という強い気構えこそが、
楽しい旅の思い出を創る上で、最も重要な要素です。

ズバリ、準備8割、現地での対応2割のエネルギー配分だと思います。
特にイタリア旅行においては、日本では想像できないようなトラブルが必ずついて回ります。

さんざん脅したところで(笑)、本題にはいります。

まず、イタリアのワイナリーを巡るならば、やはりGambero Rosso社の「Vini d'italia」/Italian Wines 」は、旅行準備前に持っていたいところです。
ワインの評価もさることながら、連絡先、所在地、Web等が記載されており、訪問の計画を立てる上で使い易い資料の一つです。

宿と食に関してはSlow Food協会の「Osterie & Locande D'italia」が、コンパクトに纏まっており情報の品質も高いと感じています。

2冊ともこのブログのサイドバーからアマゾンなどのネット書店へたどれると思いますので、ご参照下さい。

ワイナリーや宿、レストラン等、各訪問先の立地、距離、大まかな移動スケジュールの流れ等、旅行の全体感を掴む上で、Google Map は大変便利です。  

レストランは、予め日本から国際電話で予約をしておきましょう。 
イタリアの場合、極端なド田舎に行かない限り、旅行客が頻繁に来る店(場所)ならば、中学生レベルの英語で十分通じます。
もちろんイタリア語に勝るモノはありませんが、英語かスペイン語(北部はフランス語)が少しくらい話せれば、なんとかなります。

レンタカーに関して、イタリアの場合、他のヨーロッパの国々同様にマニュアル車が殆どです。
残念ながら、取扱いの少ないオートマ車のレンタル料金は高く設定されており、主要空港にしか手配されていないというのが実情です。
オートマ車しか乗れない人は、地方都市へ長距離運転して移動することになります。
因みに僕がマルペンサ空港からレンタカーを乗る場合は、「AVIS」、「Hertz」を利用しています。
オートマ車が豊富なだけでなく、なにより日本語で予約ができるのが、嬉しいところです。

国際免許は運転手の方はもちろんのこと、、助手席に座る方も運転する可能性のある場合、
レンタカーを引き渡して貰う際に、カウンターで国際免許と日本の自動車運転免許の提出を求められますので
事前に用意が必要です。 

さて、「旅行」と言って欠かせないのが、「地図(ロードマップ)」です。
もちろん、マルペンサ空港のコンビニ(売店)や書店で入手ですが、
一番のお薦めは、レンタカーのカウンターで、携帯式のGPSを借りる事です。
慣れない地図と標識に悩まされる苦痛から解放される事を考えれば、僕は安価な出費だと思います。(もちろん、地図も買っておきたい)
出国前に電話やメールで、現地でレンタル可能かを確認しておくと良いでしょう。
但し、唐突な道路の補修工事が多いイタリアでは、GPSの基本の地図データが更新されていない事が多く、信頼度はかなり微妙なモノがあります。
交通事故も多いので、迂回路を探す上でも地図は持っていたいところです。

あと、レンタカーを借りる際は、必ず保険に入りましょう。(フル・サポートをカウンターで勧めてくると思います。)
日本では考えられませんが、空港の駐車場を出たとたん、時速160km(制限速度は遙かに遅いですよ)の車が行き交う道路が、あなたを待っています。

給油する燃料の種類もカウンターで確認しておきましょう。
燃料の種類を示す色が、車の給油口の蓋の色と、ガソリンスタンドの給油ホースの色とでリンクしています。
因みに、僕が旅行した際は、黒がディーゼル、緑がガソリンでした。(バイオ・エタノールが普及した場合、新たな色が出てくるかも)
ガソリンは Benzina であり、 Gasolio (軽油)と間違えやすいので注意して下さい。
また、イタリアは日照時間が長く紫外線も強いので、サングラスやUVケアは必須です。

電話は、プリペード式の携帯を日本で予め購入してから行く方法もありますが、
現在ご使用中の携帯電話を国際ローミングで利用する方が、操作になれている点からも楽で良いと思います。
事前に各セルラーの窓口で携帯端末の操作方法と料金体系は確認しておきましょう。
イタリアの場合、携帯電話からの通話を受ける側も料金が発生します。
携帯メールも1バイトいくらの世界です。
海外からツイッターやSNSを更新する場合は、データ量と料金に注意した方が良いと思います。

空港周辺のホテルを日本から予約する場合、僕は「Booking.com」「Verona.com」を利用しています。
日本語のオペレーターもいるようですが、基本英語だとお考え下さい。

また個人的に夜にイタリア入国する場合が多く、体調維持を考えて必ず空港付近のホテルで一泊するようにしています。
慣れない海外の高速道路を運転するわけですから、初めのうちは、見晴らしの効く明るい日中に車で移動した方がリスクは軽減されるでしょう。

レンタカーをネット予約する際、「早割」のような割引プランが結構見つかるのですが、
中にはキャンセル不可(必ず請求されてしまう)ものも多く、注意が必要です。
尚、ネットで予約した際には、予約時に登録したクレジットカードを忘れずに
(普段から複数のクレジットカードを利用している人は注意してください)

また、イタリアでクレジットカードを利用する場合、PINコードの入力を求められます。
所謂「暗証番号」の事ですが、日本ではお店やレストランで買い物をする際には殆ど必要とされていませんので、記憶が曖昧な方は出国前に予めクレジット会社に確認をしておいた方が良いでしょう。

無事日本を出国し、マルペンサ空港に飛行機が到着。
スムーズに入国審査が終わると、バゲージ(荷物)の引き取り所に出ます。
しかし、これが待てど暮らせど一向に出てこない。
コンベアにのって自分のスーツケースが運ばれてくるまで、最低30分、通常1時間は覚悟しておいた方がよいでしょう。
なので、飛行機を慌てて降りる必要は全くありません。
もしも、空港で人と待ち合わせる場合、また空港からすぐに移動したいと考える際は、
この無駄な時間も予め計算にいれておいた方がいいと思います。

また、バゲージのエリアは何故か電波事情が不安定で携帯が繋がりづらかったです。
むしろ入国審査を待っているスペースの方が繋がりました。

無事バゲージで自分の荷物を見つけることができたら、入国口を出ましょう。

マルペンサ空港事は、(日本式に書けば)1階が入国階、2階が出国階、地下がレンタカーと鉄道乗り場通路となっていて各階をエスカレーターやエレベーターで行き交う事ができます。

入国口を背にして、右側の地下階に、レンタカー会社が集まっている一角があります。
カウンターで所定の手続きを済ませ、鍵を受け取ってからも大変。
動く歩道を抜け、鉄道乗り口を尻目に、レンタカーがとまっている屋外駐車場に向かいます。
この間、大きな荷物をもったまま結構歩かされます。 
ついつい散漫になりがちなので、置き引きやスリなどには十分注意してください。

レンタカーがあつまる屋外駐車場についても、駐車場の敷地は大変広く、自分の車に辿り着くまでに疲労困憊してしまいます。
「AVIS」、「Hertz」がお薦めなのは、大手故にその広い駐車場内でも好立地にあるため、必要以上に歩かされる事も少なく、自分の車を見つけるのも容易です。

ところで、空港付近のホテルを利用する場合、各ホテルと空港を結ぶシャトルバスを利用される方が殆どだと思います。
Milano-Malpensa1671
Milano-Malpensa1672
Milano-Malpensa1673

2010年5月の時点においては、4番出口正面から出て、タクシー乗り場の更に奥の一角に、シャトルバスのバス停が設けられています。
(以前は7番出口付近だったのですが、僕が行った時には工事をしていましたので、今後変更される可能性は高いと思います)
ミラノ市内へ向かうプルマンも4番出口〜5番出口の間(タクシー乗り場付近)から発車している様子でした。

実際、僕自身このシャトルバス乗り場の存在が分らず、送迎に来たホテルの車を逃し続け、1時間以上も空港を彷徨い、途方に暮れた苦い経験があります。
尚、バスの運行はホテル毎に異なりますので、入国口を出たら空港からホテルに直接、電話を入れれば良いと思います。(何分後到着する予定か教えてくれます)

さて、前述のとおり、マルペンサ空港は高速道路に隣接しており、知らずに走っていると、あっと言う間にハイスピードで走る車の波に飲まれます。
運転の行儀も悪く(北はまだしも、南に行けば無法地帯化しています)、幅寄せ、追い抜きは日常茶飯事。
ノロノロしていると後ろからクラクションをブーブー鳴らされるだけでなく、怒号や罵声すら飛んできます。

一般のイタリア人は、どうしても自分の事を中心に考えがちな人達です。
例え煽られても、わざと目の前でノロノロ運転をされても、決して熱くならず、冷静に「君子危うきに近寄らず」で、張り合う事は止めた方がいいでしょう。
 (そのくせ、可愛い東洋の女の子が道を尋ねれば、玄関まで送ってくれるような極端な一面もあります。)

また、右側通行・左ハンドルに慣れていない人は、事前に空港の駐車場を一周するなどして、ある程度慣れてから公道に出ることをお薦めします。
特に、ワイパーやウインカー等の基本機能は必ず、公道に出る前にチェックしておきましょう。(恐らく直感的には逆になっていると思います)
運転中は、昼間でも必ずライトを点灯させて走ります。 (駐車中のバッテリーあがり注意してください)

高速道路の料金所において、日本からの旅行者の場合は、「Terepass」というETCを利用する事は、まずないと思います。
高速入口では必ず高速のチケットをとり、高速を降りる際は、現金のマークが描かれている白い看板を目指して、高速道路の出口を出ましょう。(間違えてETCの入口に行くと悲惨な目に遭いますよ!)
一応クレジットカード決済も可能なようですが利用したことはありません。
高速道路を利用することを考えれば、日本を出国する前に硬貨を含む形で両替をしてきた方が良いかもしれませんね。

日本より高速度路網が整備されている(少なくとも僕はそう思っている)イタリアでは
各出口間の距離が非常に長く、ひとたび高速度路を降りそびれると時間的ロスはとても大きく、リカバリーの道を探る精神的疲労も慣れない外国では想像以上です。

最低でも、分岐点や降りるべき出口等、重要ポイントは事前にチェックしておいた方が良いと思います。
僕は、高速道路の分岐点を、Googleマップのルート検索し、ストリートビューで周辺の様子を必ず確認しています。(ストリートビュー込みで印刷しておくと便利です。)
GPSを持っていても、事前にルートのシミュレーションを確認しておいたようが良いでしょう。

また、イタリアの市内を自動車で走る場合は、少し注意が必要です。
基本的に信号機が設置されている交差点は少なく、ロータリーになってる場合が殆どです。
クルクル
▼▼▼の線の手間で一旦停止し、入れそうなタイミングでロータリーに飛び込む、という、なかなかスリリングな交通ルールです。
所謂、左折優先の交差点のようなもので、交差点を出るときはウインカーを点滅させ進行方向に進む、
というのがルールのはずですが、交通渋滞で割り込む時以外にウインカーを点滅させているイタリア人を見たことがありません。

左側から突っ込んでくる運転手の顔色(アイコンタクト)を見ながら、というのが正解だと思います。
また、大きなロータリーの場合、慣れない間は方向感覚がなくなるので気をつけて下さいね。
因みに、僕ら夫婦の間では、この交差点のことを『偉大なるクルクル』と呼んでいます。
(車も人も互いに気を付ければいいだけだし、交差点毎に信号機を付けるなんて税金の無駄遣いですよね。)

車を駐車する際は、有料の公営駐車場(駐車スペース)を利用することが多いと思いますが、
面倒でも必ずチケットを買いもとめ、フロントガラスの内側(ダッシュボードの上)に見えるように置いておくこと。
買った駐車時間枠(駐車可能時間)を証明する為です。
但し、曜日や時間によって無料となっている場合もありますので、コインを入れる前は慎重に。
(結局、僕はお釣りの出る仕組みが判らず、余分に入金していました)

どこに止めたか判らなくなりそうな場合は車から離れる前に、駐車している周辺の建物、隣接している通りの名称や目立つシンボル等を、デジカメに撮影しておくといいですよ。

最後に旅行に欠かせない持ち物について。
ガムテープ、エア・パッキン(ぷちぷち)、はさみ(預け荷物に入れる)の準備は、海外旅行の三種の神器ですが、加えて、僕はワイナリー巡りに備え、ワイン用の段ボールを折ってスーツケースに入れていきます。
ワイン用段ボールは、車での移動の際にワインボトルが車内で転がるのを防ぐだけでなく、まとめてホテルの部屋に移動させたり、日本へ郵送する為にエノテカ(ワインショップ)へ持って行くのに便利です。(基本的にワインショップで購入した商品に、手持ちのワインを同梱するという趣旨です。)

こういう梱包資材を現地で調達するのは困難です。
ワイナリーに行けば、小口で箱に入れてくれるのですが、数軒ワイナリーを巡っている内に、どんどん個数が増えていきます。 まとめて移動できる箱はとても重宝します。
ワイナリーを巡り最終的に集まったワインを、外国人が頻繁にくるような信頼できるエノテカから、日本に送るようにしています。 
その際には、礼儀として半分くらいはそのエノテカからワインを買い、同梱してもらいます。

最近のスーツケースは、軽量化の為に外壁が柔らかく変形しやすくなっているので、
帰国の際にワインやオリーブオイルを収納する場合は、空ペットボトルを二つに切り、その中に瓶をそのままスッポリと入れ、ガムテープで覆って、割れと漏れによる被害を防いでいます。

ワインを日本に送る場合は、帰国の際に別送品の申請に備え、旅行中に記載可能なリスト(ノートでも可)を用意しておくことをお薦めします。(税金はキチンと納めましょうね)

ここまで事前に把握出来ていれば、後は度胸だけですね。
是非、観光ガイドに載っていない本物のイタリアの美食を楽しんできて下さい。

不便で判りづらい所ほど、美味いレストランや優れたワイナリーがあるものです。
あと、基本的に飲酒運転はアウトですよ。
・・・ 念のため。