ブログネタ
イタリアワイン に参加中!
シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ16

ラシーヌ主催の『サルヴォ・フォーティ氏とともに≪イル・カンタンテ≫ 食事会のご案内』に行ってきました。
30名程のコンパクトな会で、エスプレッソ誌で活躍する宮嶋勲氏による通訳も名調子。
大変小気味よくサルヴォ氏の言葉を訳して頂いたおかげで、
自身の目指すワイン観を、耳(知識)と舌(感覚)とで理解を深める事ができました。

シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ12

いずれテーブルにも、どこかのワイン会で見たことある顔がチラホラ。
中にはイタリアワインと心中してもよいと覚悟を決めている方々も少なからず座っており、
熱心にサルヴォ氏の話に耳を傾けていました。

もちろん、グラディスカの料理もワインに大いに華を添えていました。
通常はワインが料理に華を添えるものですが、この日はワインの個性を引き立たすかのように、
味付けや下ごしらえへの配慮が随所に感じられました。

そして、さすがは、ラシーヌ。準備が実に丁寧です。
テーブル毎にラシーヌのメンバーが着き場の雰囲気を盛り上げただけでなく、
サルヴォ氏の造るワインの特徴や哲学についてより理解が深まるようにと、
参加者一人一人に詳細な資料が配布されました。
(※現在、当該資料はラシーヌのオフィシャル・サイトにアップされております。)
合間をみては合田さん自ら各テーブルを廻り解説を加えるなど、まさに至れり尽くせりの対応でした。

さて、造り手やワインの背景については、今回参加された酒販業の方や愛好家の方々が、
より詳細に発信されるのではないか思いますので、僕のブログでは、
この日忍ばせていたICに録音した音声(通訳)を、そのままテキスト化した状態で載せたいと思います。
その方が、サルヴォ氏本人が発せられた生の言葉のニュアンスや人柄、
また当日のワイン会の様子が、読者の皆様にダイレクトに伝わり易いでしょう。

ブログのタイトルにもあるように、僕は日本のワインラヴァー同士が互いに良いトスを上げながら、
現地の生産者やワインに携わり生活をしている方々を支えることが出来たら、どれ程素晴らしいことかと、
実に荒唐無稽な理想を描いております。

偶然にも僕の書いた記事を誰かが読んだくれた事がきっかけで、
サルヴォ氏の造ったワインを購入して飲んで頂ければ、正にワイン・ブロガー冥利に尽きるというものです。

言葉の癖、略語、口語による助詞の揺れ等は修正しております。
一部ノイズで聞き取りにくい部分が御座いますので予めご了承ください。(後日、誤植修正をする場合があります。)

サルヴォ・フォーティ オフィシャルサイト
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● Noblesse Brut Metodo Classico - Azienda Vinicola Benanti/ノブレッセ・ブルット・メトード・クラッシコ(ベナンティ)
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シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ02【音声取り忘れのため、僕のメモより】
エトナにしかないカッリカンテという葡萄のスパークリング。
カッリカンテは非常に高い標高でも育つ数少ない葡萄品種。
高い標高のエトナでは、黒葡萄は成熟しにくい。
白葡萄は育つが酸が強くなる傾向にある。
なので、瓶内二次発酵向き。
もしくは長期熟成向き。
1993年に生産を、2004年商品化を開始。
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ご同席頂いたラシーヌさんのスタッフからの解説によると、ベナンティ社はイタリアでは「目薬」で有名な会社とのことです。
カッリカンテは非常に酸の強い葡萄であることは、その飲み口からも明らか。
切れがあり、瓶内で熟成した酸が生み出すコクを感じました。
長い酸味とハニーのニュアンス。
無駄にアクティブ過ぎない、細かく、とても自然な泡の立ち上がり。
手間をかけて、とても丁寧に造っているな〜。
間違いなく素晴らしい泡物なのですが、地葡萄品種の泡物に8,000円台とは、値頃感を訴えるのは難しいでしょう。
5,000円台後半ならかなり商品力は強いと思います。
イタリア・スプマンテの真の実力を信じる者にとっては、間違いなく安い買い物!

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● Bianco 2004 - Azienda Il Cantante /ビアンコ(イル・カンタンテ)
************************************************************************************************************************シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ04【サルヴォ氏のコメント】
「 Il Cantante ( イル・カンタンテ )」と言う名前のワイナリーの白ワインです。
3つの葡萄品種で造られており、すべてエトナの土着品種です。
先程飲んで頂いたスパークリングの基になっていたカッリカンテと
ミネッラという白葡萄(これもエトナにしかありません)、
それからグレカニコ、これはシチリアの固有品種になります。

これは2004年にヴィンテージで、もう5年経っているわけですが、
シチリアでは白ワインを5年以上熟成させて飲むのは、まずありません。
一般的にはすぐに消費される早飲みタイプ。
このワインは今でもとてもフレッシュで、喜ばれております。
香りに、ハニー(はちみつ)の香りのトーンが出ており、
そこに注目してほしいです。乾杯♪)
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ハニーのトーンより、固有の酸の強さばかりが印象に残ったワイン。
強い酸から還元的な香りが支配。
(重油香というよりは、マジックペンの極太マッキーの香りを連想しました)
激しくスワリングしてもガスは晴れず、酸も食道に刺激を感じるほどに強い。
余韻短め・全体的に丸い円のような味わいの広がり。

しかし、別のボトルのワインを注いで頂くと前記のモノよりも、
色も仄かに赤身を帯びており、飲み口も柔らか(無論、酸の強さは健在)。
オイリーであり、ネロン♪とした粘膜のような舌触り。
グングン伸びてくる。これは良いね!
香りも還元的な香りの向こうに青草やライム、蜂蜜の香りに混じり
ミネラル感を連想させる鉱物的なニュアンスもありました。

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● Nero d'Avola 2003 - Azienda Il Cantante/ネロ・ダヴォラ(イル・カンタンテ)
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シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ06【サルヴォ氏のコメント】
ネロ・ダーヴォラという品種のワインです。
シチリアの南部で生産された葡萄です。なので、エトナではありません。
アフリカに近いエリアです。エトナにはネロ・ダーヴォラはありません。

「 Il Cantante ( イル・カンタンテ )」と言う名前のワイナリーで造ったワインですけど、「 Il Cantante ( イル・カンタンテ )」とはイタリア語で「歌うたい(歌手)」の意味ですが、実際、オーナーは歌を歌います。
名前は、「Mick Hucknall (ミック・ハックネル)」。
「シンプリー・レッド」というバンドのヴォーカルの方です。
ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ミック・ハックネルなる人物を、仕事をするまで私は知りませんでした。
2002年にミック・ハックネルがエトナに来て、「エトナでワインを造りたい」と、私達のもとへ相談に来ました。彼はエトナが気に入ったようです。

だだ、ミック・ハックネルが「私はエトナでワインを造りたい」と言ってきたので、私は彼に対し、
「君はエトナでワインを造ることはできない。」
「なぜなら、エトナではエトナ山がワインを造るのだから。」と答えました。

「どういう意味か」と言うので、
「二日間俺と一緒にエトナを廻れ!そうすれば判るだろう!」と言いました。

また、ミックに
「私は、ミックのワインを造るつもりもないし、ワインメーカーのワインも造るつもりもない。エトナのワインを造るんだったら引受ける」とも言いました。

ただ、ミック・ハックネルはボルドー・ワインの親善大使もやっているそうで、
「なんでそんなのやっていてエトナにワインを造りに来たの?」とも聞きました。

※その答えは、オフィシャルには出せず「内緒にしておいて下さい!」とのことでしたので、記載は控えさせて頂きます。
訴えられたら大変だしね。でも、その場にいた人だけには、こっそり教えてくれましたよ。
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飲み口はとても軽やか。
バリックの強さよりもワイン全体のモダン&クリーンさが強い印象を与えます。
果実味タップリでエレガントな味わい。
この品種で、こんなモダンなワインが出来るんだ、と暫し感嘆。
グルフィのネロ・ダーヴォラとは全く異なる表現。

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● Etna Rosso Vinupetra 2005 - I Vigneri /エトナ・ロッソ・ヴィヌペトラ(イ・ヴィニェーリ)
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シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ07【サルヴォ氏のコメント】
このワインについて話すと1時間くらい経っちゃうんですけど・・・、嘘です!
凄い、美味しいワインです。 それだけです!(爆)
自分は醸造コンサルタントしての仕事以外に、この小さなワイナリーで自分のワインも造っています。非常に小さい畑なんですけど、エトナに買いました。

元々他人の所有の畑だったんですが、自分の祖父が働いていた畑でした。
私のお爺ちゃんが、
「いつか買える日があったら買ってみたい」と予てから言っていましたので、
自分が経済的に可能になった時に買いました。
ただ(その畑は)垣根仕立てで、アルヴレェッロ(コブレ仕立て)はやっていなかったので、自分はアルヴレェッロにしました。
セメントの支柱あって植わっていたので、それらを取り除いて栗の木の支柱を入れました。でも、それを見て村の人は皆、クレイジーだと言いましたが・・・。

ただ、結局そのやり方を基にして、イ・ヴィニエーリでは各地で栽培コンサルタントをしているので、
その畑をモデルにした葡萄畑が各地で増えています。

先程のシンプリー・レッドのミック・ハックネルもこの畑を見て、彼の畑もそのようにすることに決めました。

今でも私を支持してくれている生産者は皆、この畑を見てモデルにしています。
グルフィとか、グルフィとかご存じない方はヴィーノ・カターニャ(?)とか。

2000年までのヴィンテージは、瓶詰めせず家族で飲んでいました。
そして2000年の末に、イタリアで優秀なディストリビューター(購買担当者)である
ジャン・パウロ・デラルドという方が見に来ました。
因みに、そのディストリビューターは「ヴィーニ・エクスプレーミ?(激しいハード・ワインとう意味)」というシリーズを
流していたので、非常に栽培の難しい「英雄的な」栽培をするワインですが、私のワインを買ってボトリングしました。
そのディストリビューターからのものは2001年からがファースト・ヴィンテージで、(当時の)生産本数は300本。

内々ネタでも、かなりプレゼン度は上がりました。
それまでお金を儲ける機会はありませんでした。
去年、その第1運行者のおかげで、北イタリアの良いレストランは、皆これを置いてくれました。
そしてベネチアで重要なレストランで「アル・ディ(?)」。
オーナーさんがこのワインを飲んで下さって、ご縁ができました。
私に電話が掛ってきて、何かの悪い冗談で、ふざけているのかと思いましたが、只、私がこの場にいられるのも、
このワインのおかげです。有難う御座います。
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これはジャム?と思うほどの果実感。
サルヴォ氏の思い入れの深さを伺わせる、濃縮感のある豊な味わい。
柔らかく実に自然でいて、複雑性に富んでいる。

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● Etna Rosso 2001 - Azienda Il Cantante/エトナ・ロッソ(イル・カンタンテ)
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シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ08【サルヴォ氏のコメント】
今注いで頂いているの「カンタンテの2001年」です。
<各テーブルから、ブラボーの声!>

このワインの抜栓された時の音が聞こえなかったかもしれませんが、最初開けたら、シンプリー・レッドの歌が5秒くらい聞こえます。(大爆)
全てのボトルがそうではなく、素晴らしボトルだと5秒くらい聞こえます。
だから、いっぱい買って、試してみて下さい。

2001年はカンタンテというワイナリーが造った最初のヴィンテージになります。
本当にすばらしい、エトナ・ロッソだと思います。
今飲むのが最高の状態だと思います。
本当に歌っているような感じがします。言葉はありません。
飲んで楽しんで下さい。

こんな素晴らしいワインが出来たので、カンタンテのオーナーのミック・ハッキネルが羨ましく思います。
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最初に注いでいただいた1本目が素晴らし過ぎました。
ここまで完璧な状態のワインは、1年に1本出会えるかどうか。
本当に言葉はないです。

2本目、3本目と比較しても1本目には及ばす。
それだけボトルコンディションに差が出やすいのだろうか?
だからこそ、自然のモノ。だからこそ、ワイン。

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●デザートワイン
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【サルヴォ氏のコメント】
最後のワインはデザートワインなんですけどパンテッレリーア島という島のワインなんですが、シチリアのもっと南にある島です。火山性の島です。

土壌はみんな火山の xxxxxxx(咳で聞こえず)xxxxxx になる。

もう随分昔になるんですけど、私はこのパンテッレリーア島の葡萄栽培家と知り合いました。
Salvatore Ferrandes サルバトーレ・フェッランデスという名前です。
非常にティピカルな葡萄で、パンテッレリーア島の干したワインです。
「パッシート」なんですけど陰干しとは言えないので、太陽の下で干したモノで非常に語り難いです。

ただ、フェッランデスさんは瓶詰めしていませんでした。
瓶詰めしていないので私はワインを買いました。
そして「フェッランデス」のデザートワインとして、瓶詰め100%としてリリースしました。
ただこれ以外にフェッランデスを説得して信頼を構築し、他のスティルワインを瓶詰めすることにしました。(聞き取れず、アレンジ有り)

このワインの葡萄は地元でジビッポと呼ばれています。
太陽の下で、xxxxxxxxxxxxxxx甘くxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx、栽培地は非常に暑いです。

1リットルのパッシートを造るのに4キロの葡萄から造ります。
これは2002のヴィンテージ。干し葡萄のジュースみたいなものです。

非常に甘くて、最低少なくとも1リットルあたり230グラムの残糖度があります。
アルコール度数は15度くらい。非常に調和が獲れているワインです。
非常にバランスが良い。

パンテッレリーア島では昔から「神様のネクター」と呼ばれている。
色々な伝説があります。
昔、女神を誘惑しようとする神様がこれを飲ませていた、とう逸話があります。
本当かどうかは私は知りませんが、皆さん飲んで確かめてみて下さい。
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モスカートを思わせる、紅茶の香りがありました。
言われる残糖糖度よりも、自然とスイスイ飲めるのは酸味とのバランスが優れているからだと思います。
世界的に甘口ワインの需要が減る中、敢えてこんな大変なワインを造ろうとするサルヴォ氏に拍手!

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シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ17
サルヴォ氏と記念撮影。

シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ18


シチリアワイン_サルヴォ・フォーティ19
ラシーヌのお綺麗所と記念撮影。