先週末は、夫婦の遅ればせながら誕生日イベントで、目白の「 GINKGO( ぎんきょう )」というフレンチへ。
食べログから無作為に嫁がセレクトしたこの店、造形大学出身者である僕にとっては、料理の味云々よりも、
ある種の「バツの悪い緊張」と「懐かしさ」が混じり合う、なんとも表現し難い空間でした。
ミュシャの原画(?)に並び、ビジュアル・アイデンティティとして、我が母校の先生の作品が並んでいる・・・。
自分の座ったテーブルだけでなく、全席に、佐藤忠良(ちゅうりょう)先生の絵皿がドーン!
くぁ〜忠良さん、懐かしいなぁ。
彫刻科の工房には、忠良さんや桂さん(舟越桂先生)の作品が、無造作に転がっていたモンなぁ。
今考えると、その価値に見合うセキュリティーが如何にいい加減だったか、恐ろしい限りです。
(実際のところ、美大なんて今も昔もそんなもんです。 「はちクロ」なんて、夢の世界だし。 あんな可憐な女子なんて、いなかったと思う・・・。)
僕が在籍した当時は、絵本の小野かおる先生(なんと、英語を教わった)や、修辞学の多木先生、
広告論の柏木博先生(以前は、教育テレビでよくお顔を拝見したが、その後どうしたのだろう。お元気だろうか?)がスターだった。
嘗てのゼミの恩師達も、今は皆、いなくなっちゃったならしい。
やはり高尾の山の中から、相原駅近郊へと移設した時代は、ひとつの転期だったのかもしれないなぁ。
乾物屋でアルバイトをしながら食費削り、
作品創りとサークル活動に全霊を注いでいた当時の自分の姿から、
よもや、偉大な教授の作品を目の前にレストランで食事をする日が訪れるとは、想像すらしていませんでした。
やべー、食事する前から、すげー緊張する・・・。
蒲鉾型の建物。打ちっ放しのコンクリートの壁。
なんとも「ぽすと・もだーん♪」な香りがする建物。
しかし、「ポストモダン」なんて言葉自体、21世紀を過ぎた今となっては、
何がモダンなのか、ちょっと小っ恥ずかしい響きすら感じますな。
当時の僕も、今の若者たちと同じように、
小生意気を通り過ぎて、カミソリのように切れまくりながら
友人同士で美術談義やデザイン理論に花を咲かせていました。
なにせ、20年近く前に、スキンヘッドでしたからね。
見た目も、カミソリ痕から血が滲む頭皮も、切れまくっていました。
時を経て、なんとか社会と適合しながら暮らしていますが
「デジタル化とインターネットによって、アートは「1コンテンツ」となり、一つの時代の役目を終えた。」
という持論が、今のアートに対する、僕自身の「落とし前」になっているのかもしれません。
もちろん、アートの最前線で活動されている方々は、より深い考察と見識を持たれていると思います。
経営に携わるお仕事に長く身を置いている(いわば美大出身者としては、邪道の道かも)者としては、
「良いものが売れるではない。売れるものが良いものである。」が本道であり、
アートの世界でも「良いものが人を惹きつけるのではない、人を惹きつけるものが良いものだ。」が本道であると思います。
もう10年早くこの当たり前の道理が得心出来ていれば、人生大きく変っていたかな。
ワインにしても、アートにしても、
「造り手と作品を享受する側(ワインで言えば飲み手)が共存し、作用し合って、ドラマが生まれ、作品として成立する」という共通項があるように思えます。
以上、ろくな芸術作品ひとつ生み出してこなかった、酔いどれ親父の腐れ美術談義は終了。
ワインも料理も美味しければ、それでいいのだ!
写真の絵皿は、忠良さんがこの店の「 ぎんきょう (銀杏)」 を描写したものを、大胆に絵皿のモチーフにしたとのこと。
それにしてもコペルト用の皿まで忠良作品とは、ちょっとやり過ぎでは?
店内には忠良作品のブロンズも置かれていました。
僕と嫁はそれぞれ別のコースを堪能させて頂きました。
料理の印象は、「フレンチの王道」、レストランの外観や雰囲気全てを「装置」とみた場合、
そこから受けるイメージそのままのような料理だと思いました。
視覚的にも味わいも大変美味しい。 が、反面少々「退屈」な一面も。
「均整がとれすぎている」彫刻のようです。
個人的には、もっとパッションが全面に出てくるような料理の方が好きだなぁ。
■ワイン
Pouilly Fuisse Classique 2007 - Joseph Burrier ( ピュイィ・フィッセ / ジョセフ・ブリエ )
数年ぶりに、Pouilly Fuisse をレストランで注文してみました。
ワインスクール時代を思い出します。
しかし、当時飲んでいた記憶を遙かに上回る強烈な蜂蜜香。華やか過ぎる花のような香り。
セレクション酵母利用を使い、パーフェクトな温度管理がされているのだろうか?
何やら力づくで芳香させた感が否めない。 これが今の Pouilly Fuisse のトレンドなのかな?
ミネラル感、余韻は、日頃飲んでいるイタリアワインより乏しく感じました。
「素人受け」しやすい、分かり易いワイン。
やや古くさい言葉だが、「スタイリッシュ」という表現がピタリと嵌りそう。
フランス人ってワインに限らず、マーケットニーズを瞬間で捉えデザイン化する能力やビジネス的センスは、ずば抜けているよなぁ。
ただ、全体を通しては、味と香りが乖離した印象。
■ ランチB前菜
・栗かぼちゃのポタージュ
ひやぁ〜、コクがあり甘い。「栗」かぼちゃとは、よく言ったもの。
器もとても可愛らしい。
■ ランチA:前菜 (ランチBも共通の料理をオーダー)
・下仁田葱とジャガ芋のフォンダン 自家製バッカラのガレット仕立て
バッカラとジャカ芋は「黄金の相性」ですね。
中央のハーブ類も味が濃く、フォンダンに良く合っています。
薄くカリカリになったベーコン。刺さっていた角度により焼いた根菜類に見えてしまい、
後半までベーコンと気づかず、残念ながら後から食すことに。
もっと早く気が付けば、細かく砕いてバッカラと一緒に食べたかったなぁ・・・。
今日のメニューの中では、一番僕の好みに合った料理。 ブラヴォー!
■ランチA:メイン (魚を選択)
・産地直送天然鮮魚のポアレ 大粒アサリと春野菜のナージュ
お魚は、確かアイナメだったと記憶していますが、大変美味しい白身魚でした。
上のゴボウチップス、ゼンマイ、ティックブロッコリー。
ああ、苦味がある食材って素晴らしい。
アサリが蛤をイメージさせ、春の息吹を感じさせてくれた一品。
■ランチB:プリモ
・産地直送天然鮮魚による魚料理 (すずき)
げげ! 京都の悪夢、「イル・ギオットーネ」 の再来か?!
フレンチだろうが、イタリアンだろうが、淡泊な食材に漬け物は合わない、って。(白いご飯だけにしとけ!)
料理殺し。 ワイン殺し。 ヌーベル・キュイジーヌの功罪。
白身魚の持つ身や皮の味と香りが、魚の上に盛られた「たくわん」を連想させるカブの酢漬けで台無しに。たくわんは 一口食べ、全部残しました。
ソースに刻んだピクルスも微妙。
■ランチB:セコンド
・和牛肉のラグーと仏産セップのアッシェパルマンティエ クロケット仕立て グレビーソース
早い話が「牛肉の高級メンチカツ」。
手間がかかっているのはよく判ります。 歯が弱いお年寄りにも食べやすい工夫がされていると思います。軽くフォークをクロケットに落とすだけで、綺麗に解れます。
サクッとした揚げ具合は、お見事。
ただ、余り感動が無いのは、あまりに洋食屋さんっぽい仕上がりだからかな?
主役のクロケットは塩とレモン・オリーブオイル等でさっぱり頂きたかった。
クロケットよりも、付け合わせのお野菜とのほうが、グレビーソースとの相性は良かったと思います。
■ドルチェ
・ワゴンデザート
嫁、大はしゃぎ。暗い写真でも判るように、かなりニヤついています。
デザートは女性の特権ですから、これは仕方ありません。
これだけ一度に並べられたら、全部食べたくなりますよね。
お店もよく心得ていて、「それぞれのデザートを、ちょっとづつも出来ますよ」とのこと。
Aコースのワン・ディッシュに乗ったデザートだって、見た目もお味も大変素晴らしかったです。
ちょっとだけ、自分の原点を振りかえる事が出来た一日。
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料理の印象は、「フレンチの王道」、レストランの外観や雰囲気全てを「装置」とみた場合、
そこから受けるイメージそのままのような料理だと思いました。
視覚的にも味わいも大変美味しい。 が、反面少々「退屈」な一面も。
「均整がとれすぎている」彫刻のようです。
個人的には、もっとパッションが全面に出てくるような料理の方が好きだなぁ。
■ワイン
Pouilly Fuisse Classique 2007 - Joseph Burrier ( ピュイィ・フィッセ / ジョセフ・ブリエ )
数年ぶりに、Pouilly Fuisse をレストランで注文してみました。
ワインスクール時代を思い出します。
しかし、当時飲んでいた記憶を遙かに上回る強烈な蜂蜜香。華やか過ぎる花のような香り。
セレクション酵母利用を使い、パーフェクトな温度管理がされているのだろうか?
何やら力づくで芳香させた感が否めない。 これが今の Pouilly Fuisse のトレンドなのかな?
ミネラル感、余韻は、日頃飲んでいるイタリアワインより乏しく感じました。
「素人受け」しやすい、分かり易いワイン。
やや古くさい言葉だが、「スタイリッシュ」という表現がピタリと嵌りそう。
フランス人ってワインに限らず、マーケットニーズを瞬間で捉えデザイン化する能力やビジネス的センスは、ずば抜けているよなぁ。
ただ、全体を通しては、味と香りが乖離した印象。
■ ランチB前菜
・栗かぼちゃのポタージュ
ひやぁ〜、コクがあり甘い。「栗」かぼちゃとは、よく言ったもの。
器もとても可愛らしい。
■ ランチA:前菜 (ランチBも共通の料理をオーダー)
・下仁田葱とジャガ芋のフォンダン 自家製バッカラのガレット仕立て
バッカラとジャカ芋は「黄金の相性」ですね。
中央のハーブ類も味が濃く、フォンダンに良く合っています。
薄くカリカリになったベーコン。刺さっていた角度により焼いた根菜類に見えてしまい、
後半までベーコンと気づかず、残念ながら後から食すことに。
もっと早く気が付けば、細かく砕いてバッカラと一緒に食べたかったなぁ・・・。
今日のメニューの中では、一番僕の好みに合った料理。 ブラヴォー!
■ランチA:メイン (魚を選択)
・産地直送天然鮮魚のポアレ 大粒アサリと春野菜のナージュ
お魚は、確かアイナメだったと記憶していますが、大変美味しい白身魚でした。
上のゴボウチップス、ゼンマイ、ティックブロッコリー。
ああ、苦味がある食材って素晴らしい。
アサリが蛤をイメージさせ、春の息吹を感じさせてくれた一品。
■ランチB:プリモ
・産地直送天然鮮魚による魚料理 (すずき)
げげ! 京都の悪夢、「イル・ギオットーネ」 の再来か?!
フレンチだろうが、イタリアンだろうが、淡泊な食材に漬け物は合わない、って。(白いご飯だけにしとけ!)
料理殺し。 ワイン殺し。 ヌーベル・キュイジーヌの功罪。
白身魚の持つ身や皮の味と香りが、魚の上に盛られた「たくわん」を連想させるカブの酢漬けで台無しに。たくわんは 一口食べ、全部残しました。
ソースに刻んだピクルスも微妙。
■ランチB:セコンド
・和牛肉のラグーと仏産セップのアッシェパルマンティエ クロケット仕立て グレビーソース
早い話が「牛肉の高級メンチカツ」。
手間がかかっているのはよく判ります。 歯が弱いお年寄りにも食べやすい工夫がされていると思います。軽くフォークをクロケットに落とすだけで、綺麗に解れます。
サクッとした揚げ具合は、お見事。
ただ、余り感動が無いのは、あまりに洋食屋さんっぽい仕上がりだからかな?
主役のクロケットは塩とレモン・オリーブオイル等でさっぱり頂きたかった。
クロケットよりも、付け合わせのお野菜とのほうが、グレビーソースとの相性は良かったと思います。
■ドルチェ
・ワゴンデザート
嫁、大はしゃぎ。暗い写真でも判るように、かなりニヤついています。
デザートは女性の特権ですから、これは仕方ありません。
これだけ一度に並べられたら、全部食べたくなりますよね。
お店もよく心得ていて、「それぞれのデザートを、ちょっとづつも出来ますよ」とのこと。
Aコースのワン・ディッシュに乗ったデザートだって、見た目もお味も大変素晴らしかったです。
ちょっとだけ、自分の原点を振りかえる事が出来た一日。
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barolista: よっさんの『心のワイン』 - フリウリ・ワイン、そしてバローロ&バルバレスコの世界 - : GINKGO( ぎんきょう ) @ 目白 / 下落合 http://italianwine.livedoor.biz/archives/1433931.html
twitterでフォローを行おうと思ったのですが、ブロックさています…。
もしよろしかったらフォローさせて頂きたいのですが、なにか失礼な事をしておりましたら申し訳ありません。
また、不都合でしたらこのコメントも削除してください。