よっさんの『心のワイン』

嗚呼、麗しきかな。
悠久なる白ワインの聖地『コッリオ』よ。
ワインの王を生み出す煌星の如き銘醸地『ランゲ』よ。

このブログは、生産者・インポーターさん・レストランさんを
「飲み手」の立場から支援したい想いで書いています。

(画像・文章・内容に関わる一切の転載のを禁じます。) 

生産者訪問記録

Movia (モヴィア)

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Uros Klinec のペースに嵌り、訪問時間がすっかり遅くなってしまった Movia(モヴィア)。
到着した頃には、既にツアーは佳境に入っていて、自然発生的に始まったパーティーの真最中でした。
長雨の合間に訪れた僅かな晴れ間に畑に出てしまった Ales Kristancic (アレス・クリスタンチッチ)をよそに、飲めや歌えやの大騒ぎ。
アレスの奥さんの Vesna (ヴェスナ)さんも良く心得たもので、好き勝手に盛り上がるゲスト達を上手く裁いています。

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Vinoteka Brda (ヴィノテカ・ブルダ)

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晩飯の前の僅かな時間を利用して、Brda (ブルダ)の中心地 Dobrovo (ドブロヴァ)にある Vinoteka Brda (ヴィノテカ・ブルダ)を見学。
恐らく、イタリア各地にある Enoteca Regionale (エノテカ・レジョナーレ) のように市町村の支援を受け地域振興を目的として運営されている一機関だと思います。

こんな立派な建物の一角(地下)に、ヴィノテカ・ブルダはあります。
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Nando (ナンド) - Andrej Kristancic (アンドレイ・クリスタンチッチ)

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Brda 自然派ワインの新星、 Nando (ナンド)。
恐らく日本では未知の生産者ではないでしょうか?
荒削りではありますが、大変有望な生産者です。

Nando (ナンド)は、 Andrej Kristancic (アンドレイ・クリスタンチッチ)が運営する Brda / Collio (ブルダ/コッリオ)の小規模のワイン生産者です。
ANGIOLINO MAULE (アンジョリーノ・マウレ)氏が主催を務めるナチュラル・ワインの生産者団体 VinNatur に加盟している彼らは、瓶詰めを始めたのが1994年から。

Medana の丘を降り西に1km行くと Plesivo (プレシーヴォ : イタリア語表記なら " Plessiva " 。 Gradnik Eredi という名の小さなカンティーナがある)という字(あざ)があり、同じく Medana の丘から1km行けば、Edi Keber (エディー・ケーベル)や Colle Duga (コッレ・ドゥガ)のセラーのある Zegla (ゼグラ)という位置関係。
ナンドは、 Medana の丘の下部から Plesivo 一帯ににかけて、約6ヘクタールの畑を持っています。(収穫量は1ヘクタールあたり、約50ヘクリットル)
有機農法を実践し、現在1種類の赤ワインと、数種の単一品種と混醸した白ワインを生産していますが、初めて販売用にボトリングされたのが1994年と、生産者としての歴史はあまり深くはありません。

因みに" Kristancic "という苗字はブルダでは、「 サトウ 」 や 「 サイトウ 」 の様にブルダでは極めてありきたりの名前らしく、日本でも有名なブルダを代表するカンティーナ、 Movia (モヴィア)のオーナー、Ales (アレス) & Mirko (ミルコ) も同じ名前です。
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Klinec (クリネッチ) - 後編 -

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すっかり意気投合したウロス共に クリネッチと共にスロヴェニアの生産者として VinNatur (ヴィン・ナトゥール)に加盟している Nando (ナンド)を訪問し、更に Movia (モヴィア)へのアポイントの約束を済ませた後、ウロスの家で軽い昼食を獲ることにしました。 

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Klinec (クネリッチ) - 中編 -

テイスティングの後は、 Uros Klinec (ウロス・クリネッチ)がセラーの中を案内してくれました。

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Klinec (クリネッチ/クリネッツ) - 前編 -

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ビオロジカルなワインを愛飲する方には、必ず覚えて頂きたい造り手です。
樽の魔術師にして、スロヴェニアン・ナチュラル・ワインの急先鋒、 Aleks Klinec (アレクス・クリネッチ) 。
※スロヴェニア語読みでは「クリネッツ」と発音します。

クリネッチのワインは3年前に、既にこのブログではお馴染みの店名である「 Alla Luna (アラ・ルナ) 」にて初体験。
それまでは『 コッリオのワインよりもスロヴェニアのワインは格下なんじゃないか ?! 』と勝手な思い込みをしていましたが、実際に飲んでみると、予想を遙かに上回る品質の高さに大いに驚かされました。
(国境が変わると文化がガラッと変わる、と思い込んでいるのは島国日本に住む人間の性かもしれませんね。)

Aleks Klinec (アレクス・クリネッチ) のセラーのある Medana (メダーナ) 村は、先日訪問した Edi Keber の家 (Zegla:ゼグラの丘) から、スロヴェニアの国境を越え、車で10分位行ったところにあります。

丘の上には小さな広場がありますが、僅かな商店と古びた教会くらいしかありません。
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午前中に到着した時には、まるで『 大学堂 』のような移動式のパン屋が、大きなBGMを静かな村に轟かせていました。
偶然にも、パンを買いに来ていたお婆ちゃんの一人がアレクス・クリネッチのお母さん。
とてもフランクな方で、
『 メダーナに来たなら、当然、ウチでしょぉぉぉ! 』と言わんばかりに、僕が一言も発する前に、
「 クリネッチに来たのよね ? さ、さ、お入りなさいってば!! 」と、
そそくさと屋敷に迎え入れてくれました。
クリネッチのセラーは、この写真にある教会の真裏にありました。 (手前の黄色い建物がクリネッチ)
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堂々と表札に謳っているように、クリネッチ家は1918年にメダーナに入植し、以降ワイン造りだけでなく、オリーブやイチジク、チェリー、モモを栽培収穫し生計を立ててきました。
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現在は、Angiolino Maule (アンジョリーノ・マウレ) 氏が率いる自然派ワインの団体「 VinNatur (ヴィン・ナトゥール) 」に参加し、約5ヘクタールの畑で コッリオ/ブルダ ではお馴染みの品種、レブーラ、トカイ、ピノ・グリージョ、マルヴァジーアといった白ワインや、カベルネ・ソーヴィニョン、メルローといった国際品種のワインを、有機農法を用いて造っています。
特筆すべきは、単に原始的な葡萄栽培を行っているのではなく、近年その優位性が注目されている「 LYRA(リラ)方式 : 葡萄樹がY字型になるような仕立て。」で栽培したり、品種毎に異なる樽材の樽で熟成を行ったりと、かなり積極的な挑戦を試みています。
※フリウラーノ(トカイ)のみグイヨー仕立て。

因みに、現在 VinNatur (ヴィン・ナトゥール) には、114社のワイン生産者 (食品生産者も合わせれば123社) が国境を越えて加盟しています。
日本における有名処としては、誉れ高き Valentini (ヴァレンティーニ) に始まり、
Angiolino Maule (アンジョリーノ・マウレ) 氏の La Biancara (ラ・ビアンカーラ) 、
『 自然派シチリアの番長 』 Frank Cornelissen (フランク・コーネリッセン) 、
『 バルバレスコの野生児 』 Luca Roagna (ルカ・ロアーニャ) 、
何故か不気味なイラストばかりエチケッタにする Giardino (ジャルディーノ) 、
フリウリからは 『 イゾンツォのリアル・ジャイアン 』 こと Fulvio Bressan (フルヴィオ・ブレッサン) が推薦する I Clivi (イ・クリーヴィ) や、 Vogric の並びに新しくセラーを建てたばかりの Franco Terpin (フランコ・テルピン) といった、かなりの「濃い」面々が名を連ねています。
正に『 変態ワイン・ファン御用達 』の面々です。

更に、フランスからはアルザスの鬼才「 マルセル・ダイス 」と並び評される Gerard Schueller (ジェラール・シュレール) や 、ロワールの Sebastien Riffault (セバスチャン・リフォー) 、シャンパーニュの Simon-Selosse (ジャック・セロスの妹のドメーヌ) 、『オーストリア・ワインの改革者』 Sepp Moser (ゼップ・モーザー) 、 R.パーカーも注目している真因気鋭の造り手、カリフォルニアの A Donkey and Goat Winery (ドンキー&ゴート・ワイナリー :ふざけたような名前でもワインはとても真剣。) なんかも参加しています。

生憎アレクスは、この日ミラノに行く要件があり留守でしたが、前日に Varter Mlecnik (ヴァルテル・ムレチニック) が電話で僕が訪問することを伝えてくれていたようで、弟の Uros Klinec (ウロス・クリネッチ) がホストをしてくれました。
実際、ヴァルテルに「 ブルダで行くべきセラーは何処か 」と尋ねたところ、「 是非とも、クリネッチへは行くべきだ !! 」と強く勧めてくれました。
ねぐらから起きて来たウロスは、挨拶も早々にクリネッチの施設の中をガイドしてくれました。

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Edi Keber (エディ・ケーベル)

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冴えない天気の火曜日の朝。 Sun Floriano del Collio (サン・フロリアーノ)から Localita Giasbana (ジャスバーナ通り)を通り、 Edi Keber (エディ・ケーベル)のセラーへと向かいました。

エディ・ケーベルのワインとの出会いは、初めてGorizia(ゴリツィア)を訪れた暑い夏の夜だったと記憶しています。
ゴリツィア市のチェントロを走るメインストリート Corso Italia(カルソ・イタリア通り)沿いにあるそのバールは、店の外にまで客が溢れる程繁盛していて、若い男女が少し大降りのグラスに注がれたキラキラと輝く白ワインを片手に、グラマラスな夜を謳歌していました。
カウンターの中央に置かれたボトルには、白いエチケッタにシンボリックな「K」の文字。
グレープフルーツや蜜の香りと個性的なミネラル感。 冷やしても失われることのない、ゆったりとした舌触り。
日中の強い日差しで熱を帯びた体には、これ以上にない最高の癒しの果実。
ゴリツィア市民に支持されるその造り手の名前を、僕は何度も聴き直しました。

トレ・ビッキエーリの常連でもあり素晴らしいワインの造り手であるエディ・ケーベルですが、実際のところは、「寡黙なワイン生産者」というよりも、「プロモーター的な立ち位置にいる造り手」のように思えます。

コルモンスのレストラン「Subida(スビダ)」のJosko Sirk (ヨシュコ・シルク)」氏と共に、
D.O.C.Collio(コッリオ)の振興に努めている事は、当ブログでも何度も紹介していますが、
地元の生産者が世界大戦後フランス産のバラエタル・ワインの氾濫によって苦境を味わった歴史的背景や、
2007年以降「トカイ」の名前が名乗れなくなった経験などから、所謂「外圧」に対して、エディ・ケーベルは大変な危機感を持っています。

例えば「バローロ」や「ブルネッロ」のように、もっと言えば「シャンパーニュ」のように、その土地の名前を聞くだけで誰もが一流のワインをイメージするような強いブランド力を、「D.O.C.Collio(コッリオ)」が一日でも早く身につける事が、地元の生産者達の生活を守る事に繋がると、エディは真剣に考えているのでしょう。

エディは、ヨシュコ・シルク同様に、自身の土地でアルベルゴを経営しており、ワインツーリズムにやってくる観光客に対して「宿」と「飲食」の両面から質の高いサービスを提供しています。

僕が訪問した朝、エディはアルベルゴの食堂で外国人の宿泊客と朝食をとっていました。
アルベルゴの前には、宿泊客がレンタルしている「Collio in Vespa」キャンペーンの黄色いバイクが停められていました。
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